キリマンジャロの雪

サファリで狩猟するヘミングウェイ
1934年

キリマンジャロの雪』(キリマンジャロのゆき、The Snows of Kilimanjaro)は、1936年アーネスト・ヘミングウェイが発表した短編小説である。1952年に映画化された。

あらすじ

アフリカキリマンジャロ山は、別名「神の家(ンガジェガ)」ともよばれている。その頂近くに、不毛の頂上を目指し登り、力尽きて死んだの亡骸があるという。豹が何を求めて頂上を目指したのか、知る者はない。

アフリカで狩猟をしていた小説家ハリー・ストリートは、脚の壊疽で瀕死の状態にあった。救援を呼んだが間に合いそうもない。死を悟ったハリーは、看護する妻ヘレンの制止を振り切り自棄酒を始めた。ハリーは酔い、ヨーロッパ大陸の各所で過ごした日々を回想する。そして、多くの体験をしておきながら、著作家としてほとんど何も書き残していなかったことを後悔し、慰めるヘレンに八つ当たりをした。ハリーは眠りにつき、その夢の中で救援の飛行機に乗って光あふれる大空へと飛立った。そして、飛行機はキリマンジャロを、「神の家」をめざす。

一方、ヘレンが目覚めたとき、そこには闇と、「ハリーだった」ただの物体と、あざ笑うようなハイエナの鳴き声が残るのみだった。

映画

キリマンジャロの雪
The Snows of Kilimanjaro
ハリー役のグレゴリー・ペックとヘレン役のスーザン・ヘイワード
監督 ヘンリー・キング
脚本 ケイシー・ロビンソン
原作 アーネスト・ヘミングウェイ
製作 ダリル・F・ザナック
出演者 グレゴリー・ペック
スーザン・ヘイワード
エヴァ・ガードナー
音楽 バーナード・ハーマン
撮影 レオン・シャムロイ
編集 バーバラ・マクリーン
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国の旗 1952年8月18日
日本の旗 1953年1月22日
上映時間 114分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語(一部仏語および西語
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The Snows of Kilimanjaro

『キリマンジャロの雪』は1952年に映画化された。現在、アメリカでは著作権は消失し、パブリックドメインとなっている。

あらすじ

キリマンジャロ山のふもとで狩猟をしていた小説家ハリー・ストリートは、脚の壊疽で瀕死の状態にあった。ハリーは自身の人生を振り返り、4人の女性とのロマンスを思い出す。

最初の恋人コニーとの辛い別れを忘れようと、ハリーはヨーロッパに旅立つ。そして、パリモンパルナスでシンシアと出会い、この恋をきっかけに小説家としての第一歩を踏み出した。ハリーはシンシアとアフリカに狩猟に出かけるが、そこでシンシアを流産させてしまう。ほどなくシンシアはハリーの元を去った。しばらくして、ハリーはリヴィエラで伯爵夫人リズと出会い、情熱的な恋に落ちるも長続きはしなかった。スペイン内戦義勇兵に志願したハリーは、そこで看護婦をしていたシンシアと再会した。二人は再び愛し合うも、シンシアはハリーが見守るなか命を落とす。ハリーはシンシアの面影を持つヘレンと結婚し、ようやく安らぎを得た。

徐々にハリーは衰弱していく。ヘレンは夫を救おうと手術を試みる。そのときようやく救援機が到着した。

キャスト

役名 俳優 日本語吹き替え
NETテレビ テレビ朝日
ハリー・ストリート グレゴリー・ペック 城達也
ヘレン スーザン・ヘイワード 三条美紀 藤田弓子
シンシア・グリーン エヴァ・ガードナー 翠準子
リズ伯爵夫人 ヒルデガード・ネフ
アンクル・ビル レオ・G・キャロル
ジョンソン トリン・サッチャー
エミール マルセル・ダリオ
ハリー(17歳) チャールズ・ベイツ[注釈 1]
1910年代
  • The Mate of the Sally Ann (1917)
  • Beauty and the Rogue (1918)
  • Powers That Prey (1918)
1920年代
  • 乗合馬車 (1921)
  • ホワイト・シスター (1923)
  • ロモラ (1924)
  • ステラ・ダラス(英語版) (1925)
  • 夢想の楽園 (1926)
  • 魔炎 (1927)
1930年代
  • 春を讃へる (1931)
  • あめりか祭 (1933)
  • 心の緑野 (1934)
  • Marie Galante (1934)
  • 廻り来る春 (1935)
  • ラモナ (1936)
  • 勝鬨 (1936)
  • シカゴ (1937)
  • 第七天国 (1937)
  • 世紀の楽団 (1938)
  • 地獄への道 (1939)
  • スタンレー探検記 (1939)
1940年代
  • 大紐育 (1940)
  • メリーランド(英語版) (1940)
  • Chad Hanna (1940)
  • 英空軍のアメリカ人 (1941)
  • 追憶 (1941)
  • 海の征服者 (1942)
  • 聖処女 (1943)
  • ウィルソン (1944)
  • A Bell for Adano (1945)
  • マージー(英語版) (1946)
  • 征服への道 (1947)
  • 海の呼ぶ声 (1948)
  • 狐の王子 (1948)
  • 頭上の敵機 (1949)
1950年代
1960年代
  • 夜は帰って来ない (1962)
オムニバス映画
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脚注

注釈

  1. ^ クレジット無し

出典

関連項目

外部リンク

小説
短編
  • 二つの心臓の大きな川 (英語版) (1925)
  • インディアンの村(英語版) (1925)
  • 医師とその妻(英語版) (1925)
  • ファイター(英語版) (1925)
  • ごく短い物語(英語版) (1925)
  • 兵士の故郷(英語版) (1925)
  • 雨のなかの猫(英語版) (1925)
  • ある訣別(英語版) (1925)
  • 清潔で、とても明るいところ(英語版) (1926)
  • 贈り物のカナリア (1926)
  • 五万ドル(英語版) (1927)
  • 白い象のような山並み(英語版) (1927)
  • 殺し屋 (1927)
  • 敗れざる者(英語版) (1927)
  • ケ・ティ・ディーチェ・ラ・パートリア? (1927)
  • 父と子(英語版) (1932)
  • 死ぬかと思って(英語版) (1933)
  • ギャンブラーと尼僧とラジオ(英語版) (1933)
  • 最前線(英語版) (1933)
  • キリマンジャロの雪 (1936)
  • 世の光 (1936)
  • フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯 (1936)
短編集
  • 三つの短編と十の詩(英語版) (1923)
  • われらの時代 (短編集) (1925)
  • 男だけの世界 (1927)
  • 勝者に報酬はない (1933)
  • 第五列と最初の四九の短編(英語版) (1938)
  • The Essential Hemingway (1947)
  • The Hemingway Reader (1953)
  • The Snows of Kilimanjaro (1961)
  • 第五列とスペイン内戦に関する四つの短編(英語版) (1969)
  • ニック・アダムズ物語(英語版) (1972)
  • The Complete Short Stories of Ernest Hemingway (1987)
  • Ernest Hemingway: The Collected Stories (1995)
舞台
  • The Fifth Column (1938)
  • 88 Poems (1979)
ノンフィクション
  • 午後の死 (1932)
  • アフリカの緑の丘(英語版) (1935)
  • Hemingway, The Wild Years (1962) - 移動祝祭日(英語版) (1964)
映画化
関連項目
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