シコルスキー S-61

曖昧さ回避 この項目では、原型について説明しています。

シコルスキー S-61

デンマーク空軍のS-61A シーキング

デンマーク空軍のS-61A シーキング

  • 表示
Sikorsky S-61L

シコルスキー S-61(Sikorsky S-61)は、アメリカ合衆国航空機メーカー、シコルスキー・エアクラフト社が開発した双発タービンエンジンの大型ヘリコプター。S-61はシコルスキー社内での呼び名で、各国軍では別の名称を使用している。

開発

アメリカ海軍が使用していた対潜ヘリコプター HSS-1(S-58/SH-34)の後継機として計画された。試作機のXHSS-2が1959年3月11日に初飛行。

吊り下げ式のディッピングソナーやソノブイ投下システムなどを装備している。キャビンは対潜機器が装備できるように大型であり、対潜機器を外すと輸送ヘリとしても十分使用できるようになっていた。また、船体型の胴体と引き込み脚を持つフロート型のスポンソンによって限定的な着水性能も有していた。

HSS-2 シーキングは、1962年にSH-3 シーキングと改名され、アメリカ海軍で運用が始められた。アメリカ海兵隊大統領専用機VH-3 マリーンワンとしても使用されている。

シコルスキー社はすぐさま商業モデルの開発に動き出した。貨物や乗客の搭載量を確保するため、SH-3の機体を1.27m延長した。フロートスタビライザーを省略し、降着装置の修正を行った。S-61Lと命名され、1961年11月2日に初飛行し、1962年3月1日にはロサンゼルス・エアウェイズが採用した。民間向けにも水上での運用に最適化したS-61Nも開発され、SH-3のフロートを装備した。1962年8月7日に初飛行。S-61LとS-61Nは、ゼネラル・エレクトリック製T58-GE-8Bエンジンを搭載していたが、CT58-140にアップグレードしたMk IIも開発された。

運送業者のカーソン・ヘリコプターズは、商業モデルS-61の機体を1.6メートルほど縮小させ、エンジンが単発であるデメリットを削減し、外部搭載量を増すことに成功した[1]。この縮小モデルは、ヘリプロ・コーポレーションによってLモデル、Nモデルともに改造され、1996年にショートスカイと命名された。

派生型

日米のS-61

アメリカ軍に採用された型は各国軍に採用され、イギリスウェストランド日本三菱重工業イタリアアグスタ社、カナダのユナイテッド・エアクラフト・オブ・カナダがライセンス生産した。多用途向きで使い勝手が良いため、世界中に輸出され運用されている。

S-61
アメリカ軍のSH-3に対するシコルスキーの型式番号。
詳細は「SH-3 シーキング」を参照
AS-61
アグスタ社によるライセンス生産
S-61A、HSS-2
三菱重工業によるライセンス生産
詳細は「三菱-シコルスキー S-61」を参照
WS-61
ウェストランド社によるライセンス生産
CH-124
ユナイテッド・エアクラフト・オブ・カナダ社によるノックダウン生産
詳細は「en:Sikorsky CH-124 Sea King」を参照
S-61R
アメリカ空軍(CH-3/HH-3)、イタリア空軍他向け。
詳細は「シコルスキー S-61R」を参照
S-61L
民間向け陸上ヘリコプター。
S-61L Mk II
S-61Lの改良型。
S-61N
民間向け水陸両用ヘリコプター。
S-61N Mk II
S-61Nの改良型。
S-61 ペイローダー
クレーン作業に特化され、機体下部構造が特徴である。標準的なS-61Nより約900 kg (2000lb) 軽量化されている。
S-61 ショートスカイ
エンジン1基搭載と外部ペイロードを増やした設計で、S-61L/Nより機体を縮小された。

運用国

ヘリジェット・エアウェイズのS-61
海上自衛隊のS-61AH
軍用 民用

スペック (S-61N Mk II)

出典: International Directiory of Civil Aircraft[2]

諸元

  • 乗員: 2名
  • 定員: 最大30名
  • 全長: 17.96m (58ft11in)
  • 全高: 5.32m (17ft6in)
  • ローター直径: 18.9m (62ft)
  • 空虚重量: 5,595kg (12,336lb)
  • 最大離陸重量: 8,620kg (19,000lb)
  • 動力: ゼネラル・エレクトリック CT58-140 ターボシャフト、1,120kW (1,500shp) × 2

性能

  • 最大速度: 267km/h=M0.22 (166mph)
  • 巡航速度: 222km/h=M0.16 (120ノット)
  • 航続距離: 833km (450海里)
  • 実用上昇限度: 3,810m (12,500ft)
  • 上昇率: 400-670m/min (1,310-2,220ft/min)


テンプレートを表示
お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

出典

  1. ^ Carson Helicopters (2009年). “About Carson Helicopters” (英語). 2009年1月12日閲覧。
  2. ^ Frawley, Gerard. page 194.
  • Gerald Frawley, The International Directiory of Civil Aircraft 2003/2004, Aerospace Publications Pty Ltd. ISBN 1-875671-58-7

関連項目

陸軍航空軍
空軍
1941 – 1962
回転翼機 (R)
  • XR-1
  • XR-2(英語版)
  • XR-3(英語版)
  • R-4
  • R-5
  • R-6
  • R-7
  • XR-8(英語版)
  • XR-9
  • XR-10(英語版)
  • R-11(英語版)
  • R-12
  • R-13
  • XR-14(英語版)
ヘリコプター (H)
  • H-12
  • H-13
  • H-15(英語版)
  • H-16
  • XH-17
  • YH-18(英語版)
  • H-19
  • XH-20(英語版)
  • H-21
  • YH-22(英語版)
  • H-23
  • YH-24(英語版)
  • H-25
  • XH-26(英語版)
  • YH-27
  • XH-28
  • H-29(英語版)
  • H-30(英語版)
  • YH-31(英語版)
  • YH-32
  • XH-33
  • H-34
  • XH-35
  • H-37
  • XH-39(英語版)
  • XH-40
  • YH-41
  • XH-42
  • H-43
海軍
1943 – 1962
クレーン (HC)
  • HCH(英語版)
観測 (HO)
  • HOE
  • HOG(英語版)
  • HOK
  • HOS
  • HO2S
  • HO3S
  • HO4S
  • HO5S(英語版)
輸送 (HR)
対潜 (HS)
練習 (HN・HT)
  • HNS
  • HTE
  • HTK
  • HTL
汎用 (HJ・HU)
  • XHJD(英語版)
  • XHJH(英語版)
  • HJP
  • XHJS(英語版)
  • HUK
  • HU2K
  • HUL
  • HUM(英語版)
  • HUP
  • HUS
  • HU2S
陸軍
1956 – 1962
輸送 (HC)
観測 (HO)
  • YHO-1
  • YHO-2
  • YHO-3
  • YOH-4(英語版)
  • YOH-5(英語版)
  • HO-6
汎用 (HU)
  • HU-1
実験 (HZ)
  • HZ-1(英語版)
命名法改正
1962 –
改番
継続
  • 攻撃機
  • 爆撃機
  • 輸送機
  • 電子戦機
  • 戦闘機
  • グライダー
  • ヘリコプター
  • 観測機
  • 対潜哨戒機
  • 無人機
  • 偵察機
  • 練習機
  • 汎用機
  • V/STOL
  • Xプレーン
  • 飛行船
典拠管理データベース ウィキデータを編集
  • 公文書館(アメリカ)