トーキョーアーツアンドスペース

トーキョーアーツアンドスペース(Tokyo Arts and Space、短縮形 TOKAS)とは、東京都による事業であり、東京から新しい芸術文化を創造・発信するアートセンターである。旧称トーキョーワンダーサイト(Tokyo wonder site、短縮形 TWS)。

概要

国内外の若手美術家(クリエイター、アーティスト、個人、グループ)の発掘・育成を図ったり、都民と芸術家あるいは芸術家同士の交流を図ったり、新しい芸術を世界に向けて発信することを目的として、都の施設を発表の場として提供し、また海外の施設とも連携をとって、様々な企画・プロジェクトを展開している。TWSは日本のアーティスト・イン・レジデンス、オルタナティブ・アートセンターの草分け的存在としても知られ、国内外の数々のアーティスト・クリエイター育成に関わった。同プログラムからは、ヴェネチア・ビエンナーレやドキュメンタを始めとする著名な国際芸術展に出展するアーティストも多く輩出され、日本人アーティストのみならず、アジア圏の多くの若手作家の登竜門として長く機能した。

トーキョーワンダーサイトは次のような5つのミッションを掲げている[1]

  • 若手アーティストの発掘・育成、そして東京からの発信をサポートする
  • アジア、そして世界のアートネットワークのハブとしての東京のプラットフォームをつくる
  • 街の活力である、東京における芸術・文化の多様性をサポートする
  • 東京都の文化政策とリンクしながら、戦略構想の提案、施策の施行、リサーチ、実験場として活動する
  • 文化に携わる人材の育成を行う

本郷、渋谷、墨田立川の三箇所に拠点がある。それぞれの拠点の機能・位置づけとしては、TWS本郷は若手クリエーターの支援・育成の場。TWS渋谷は、国際的な芸術文化ネットワークのハブとして、国内外の文化機関と連携しながら、若手から国際的に活躍するクリエーターが発表・交流を行う場。TWS青山は、国際交流拠点として創造的な制作・対話・教育を行う場とされている[2]

上記のミッションを推進するために様々な企画・プロジェクトが行われており、それに関与するクリエイター(アーティスト)を公募している。たとえば、平成25年度については、二国間交流事業として、クリエーターを派遣するプロジェクトが複数あり、ベルリンストックホルムメルボルンバーゼルなどに派遣されるクリエイターたちの公募を行っている [3]

石原慎太郎[4]都知事の発案でTWSはスタートした。

2017年に「トーキョーアーツアンドスペース」に改称された[5]

拠点

全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML
  • 表示
トーキョーアーツアンドスペースオフィス
東京都江東区三好4-1-1(北緯35度40分47秒 東経139度48分29秒 / 北緯35.67972度 東経139.80806度 / 35.67972; 139.80806 (トーキョーアーツアンドスペースオフィス)東京都現代美術館内。
トーキョーアーツアンドスペース本郷
東京都文京区本郷2-4-16(北緯35度42分10.9秒 東経139度45分33.2秒 / 北緯35.703028度 東経139.759222度 / 35.703028; 139.759222 (トーキョーアーツアンドスペース本郷)) 2001年「トーキョーワンダーサイト本郷」としてオープン。
(旧都教育庁お茶の水庁舎、旧都立御茶の水職業訓練所。1928年(昭和3年)築[6]
トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー
東京都墨田区立川2-14-7(北緯35度41分31.6秒 東経139度48分7.7秒 / 北緯35.692111度 東経139.802139度 / 35.692111; 139.802139 (トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー)) アーツ菊川1F.
2014年「トーキョーワンダーサイトレジデンス」としてオープン。滞在施設「クリエーター・イン・レジデンス」が併設されている。(イベント開催時のみ公開あり。)

過去にあった拠点

トーキョーワンダーサイト青山
東京都渋谷区神宮前5-53-67。2006年オープン。
滞在施設「クリエーター・イン・レジデンス」が併設されていた。2014年墨田区立川に移転する形で閉館。
(平成7年に国連高等研究所として建設。16年4月に同研究所が横浜に移転した後を転用[7]
トーキョーワンダーサイト渋谷
東京都渋谷区神南1-19-8(北緯35度39分45.2秒 東経139度41分58.6秒 / 北緯35.662556度 東経139.699611度 / 35.662556; 139.699611 (トーキョーワンダーサイト渋谷)) 2005年オープン。
(渋谷区勤労福祉会館、旧渋谷労政事務所。1971年(昭和46年)築[7]
2017年閉館。2020年「東京都渋谷公園通りギャラリー」として再オープン。

批判

石原慎太郎による、一部、公私混同疑惑

かつて、石原都政下で既成の都文化施設に対する予算の減額(4年間で東京文化会館は5億9036万円→3億4374万円、東京都美術館も4億9746万円→3億1833万円と両者ともに4割近く削減)とは対照的に、ワンダーサイトだけは別格として当初の5589万円→4億7152万円と8倍以上に増額されていたが、芸術家としては著しく評価されているわけではない四男・石原延啓を重用したり、家族や知人を運営に参画させるなど、事業計画・予算決算の不透明な点については公私混同の疑いを指摘されたことがあった[8]

トーキョーワンダーサイト本郷(東京都文京区)のステンドグラスは延啓が原画を描き、300万円の制作費が都から支払われた(「公費支出問題で注目 都知事四男 画家の実力は」東京新聞2006年12月8日)。

2003年3月、延啓は石原が脚本を執筆した「オペラ」制作準備のため、東京都のアドバイザリーボード委員として海外出張(パリベルリンなど9日間)に参加し、旅費55万円が都から支給された。

延啓は2003年6月から2004年3月までトーキョーワンダーサイト事業の「キュレーティングアーティスト」(学芸員)として委嘱。企画などに携わったとして、2003年12月に都から活動報酬約28万円を支給されたが、3カ月後に返還していたことが判明した(「豪華出張・四男起用…石原都知事に批判集中」iza!)。

2004年1月、延啓は和太鼓奏者の舞台背景の「鏡板」を描くために渡欧し、都から約120万円が支給された(石原都知事の親バカ いいかげんにしろ J-CASTニュース2006年12月12日)。

石原は「息子でも意見が良ければ聞くのは当たり前。息子以外にも多くの若手芸術家に手伝ってもらっており、情実が絡んでいるわけではない」と反論した。延啓をトーキョーワンダーサイト事業から外してはどうかとの質問に対しては「余人をもって代えがたい」と返答した。

トーキョーワンダーサイトの館長と副館長には、「石原知事の知己の関係」という理由で都の参与である今村有策とその妻の家村佳代子が就任した。今村は石原や延啓との親密な関係だけでなく、「(都知事の長男である)石原伸晃とも家族ぐるみの付き合い」とされた。石原は今村と妻についても「余人に代え難い」と言い切った(都知事四男の参画事業、予算伸び突出「余人に代え難い」 asahi.com2006年12月13日)。

2006年9月29日の都議会において、石原慎太郎はトーキョーワンダーサイトについて「あれは、まさにトップダウンですよ。私が考えついたんだからね」とし、2006年11月24日の記者会見では、「余人をもってかえがたかったら、どんな人間でも使いますよ、私は」との認識を示した。

2014年東京都知事選挙の際に石原慎太郎が小池百合子に「応援するから都知事選に出ないか。人もお金も全部こっちで用意する。都知事は面白いぞ」と言い小池が 「私が都知事になったら何を優先すればよいか教えてください」と石原に聞いたら「いやー(石原の後任)猪瀬が四男のワンダーサイトへの予算を削ったんだ。あれを元に戻して欲しいというのを一番目に持ってきたんです。二番目はなかったです。本当にそれしかなかったです」小池は2014年の都知事選には出馬せず田母神俊雄が出馬を表明した為石原は田母神を応援した[9]

脚注

出典

  1. ^ トーキョーワンダーサイトとは
  2. ^ 公式サイト 2012年12月5日確認
  3. ^ Open Call
  4. ^ 石原慎太郎は、自身が若い時に現代絵画を描いていたことがあり、画集も出したことがある。たとえばジャン・コクトー風の絵なども描いていた。小樽の石原裕次郎記念館などでも石原慎太郎の作品を見ることができる。
  5. ^ TOKASについて
  6. ^ 公式サイト - 2020年11月21日閲覧
  7. ^ a b 平成19年度第1回運営諮問委員会(pdf) (PDF)
  8. ^ 「石原都知事に都政の私物化批判、四男関わる事業に…」iza!
  9. ^ 週刊文春2017年3月23日号、23-24頁、小池百合子激白 石原慎太郎のウソを告発する!

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • トーキョーアーツアンドスペース (@tokas_jp) - X(旧Twitter)
  • トーキョーアーツアンドスペース (Tokyo-Arts-and-Space-トーキョーアーツアンドスペース-219414598078624) - Facebook
1950年代の著書

灰色の教室 - 太陽の季節 - 処刑の部屋 - 日蝕の夏 - 理由なき復讐(改題前:喪失)- 黒い水 – 北壁 – 透きとおった時間 – 婚約指輪 - 狂った果実 - 青春にあるものとして - 若い獣 - 完全な遊戯 - 海の地図 - 価値紊乱者の光栄 - 月蝕 - 亀裂 - 夜を探がせ – 乾いた花(改題前:渇いた花) - 男の掟 – 鱶女 - ファンキー・ジャンプ - 殺人教室

1960年代の著書

青年の樹 - これが恋愛だ - 南米横断一万キロ - 挑戦 - 見知らぬ顔 - 青い糧 - 汚れた夜 - 死んでいく男の肖像 - 雲に向かって起つ - 禁断 - 断崖 - 狼生きろ豚は死ね・幻影の城 - 日本零年 - 密航 - てっぺん野郎青雲編 - 死の博物誌 - 石原慎太郎文庫 - 行為と死 - てっぺん野郎昇竜編 - 銀色の牙 - 傷のある羽根 - 終幕 - 青春とはなんだ - 命の森 - 星と舵 - おゝい、雲! - 砂の花 - 人魚と野郎 - 大いなる海へ - 還らぬ海 - 飛べ、狼 - 孤独なる戴冠 - 青い殺人者 - 野性の庭 - 黒い環 - 青春との対話 - 巷の神々 – 待伏せ - 怒りの像 - 祖国のための白書 - 野蛮人のネクタイ - プレイボーイ哲学 - 鎖のついた椅子 - スパルタ教育

1970年代の著書

慎太郎の政治調書 – 化石の森 - 慎太郎の第二政治調書 - 男の世界 - 野蛮人の大学 - 真実の性教育 - 信長記 - 酒盃と真剣 - 石原慎太郎短編全集 - 新和漢朗詠集 - 男の海 - 対極の河へ - 息子をサラリーマンにしない法 - 風の神との黙約 - 真の革新とはなにか - 伯爵夫人物語 - 大いなる手との黙約 - 情熱のための航海 - 光より速きわれら - 刃鋼 - 暗闇の声 - 嫌悪の狙撃者 - 型破りで勝つ! - 戦士の羽飾り - 一点鐘

1980年代の著書

亡国 - 大いなる海へ - 秘祭 - バカでスウェルな男たち - 暗殺の壁画 - 流砂の世紀に - 現代史の分水嶺 - 拝啓息子たちへ - 生還

1990年代の著書

不思議な不思議な航海 - わが人生の時の時 - 時の潮騒 - 光速の時代に - 十代のエスキース - 来世紀の余韻 - 三島由紀夫の日蝕 - 禁断の島へ - 遭難者 - かくあれ祖国 - 風についての記憶 - わが人生の時の会話 - 亡国の徒に問う - 肉体の天使 – 弟 - “父”なくして国立たず - 法華経を生きる - 国家なる幻影 - 聖餐

2000年代の著書

この日本をどうする - いま魂の教育 - 生きるという航海 - 僕は結婚しない - 東京の窓から日本を - わが人生の時の人々 - 老いてこそ人生 - 日本よ - 惰眠を貪る国へ - 息子たちと私 - 日本よ、再び - 石原愼太郎の文学 - 東京の窓から世界を - オンリー・イエスタディ - 私の好きな日本人 - 火の島 - 生死刻々

2010年代の著書

声に出して詠もう和漢朗詠集 - 真の指導者とは - 再生 - 新・堕落論 我欲と天罰 - 平和の毒、日本よ - 石原愼太郎の思想と行為

共著

新旧の対決か調和か - 人間の原点 - いかに国を守るか - エベレスト - 闘論 - 「NO」と言える日本 - それでも「NO」と言える日本 - 断固「NO」と言える日本 - 「No」と言えるアジア - 宣戦布告「NO」と言える日本経済 - 「アメリカ信仰」を捨てよ - 勝つ日本 - 永遠なれ、日本 - 人生への恋文 - 日本の力 - 生きる自信

映画

太陽の季節 - 処刑の部屋 - 狂った果実 - 日蝕の夏 - 婚約指輪 - 月蝕 - 危険な英雄 - 穴 - 俺は待ってるぜ - 錆びたナイフ - 霧の中の男 - 死の壁の脱出 - 若い獣 - 完全な遊戯 - 海は狂っている - 海の地図 - 海底から来た女 - 夜を探がせ - 青年の樹 - 接吻泥棒 - トップ屋を殺せ - 愛と炎と - 青い狩人 - 雲に向かって起つ - 禁断 - 二十歳の恋 - 素晴らしい悪女 - 狼の王子 - 小さな冒険旅行 - 乾いた花 - 敗れざるもの - おゝい雲! - 青春とはなんだ - 処刑の島 - これが青春だ! - 男なら振りむくな - 復讐の歌が聞える - 狂戀詩 Summer Heat - 野蛮人のネクタイ - スパルタ教育 くたばれ親父 - 化石の森 - 青年の樹 - 秘祭 - 俺は、君のためにこそ死ににいく - 宇宙戦艦ヤマト 復活篇

テレビドラマ

深夜のメス - 幽霊と宝石と恋 - 見知らぬ顔 - この情報を買ってくれ - 分身 - 降霊 - 怒りの果実 - これが恋愛だ - 密航 - 殺人キッド - 青年の樹 - 死んでゆく男の物語 - 喪われた街 - 夜を探せ - 闇から来る - アラスカ物語 - 青い糧 - 断崖 - 雲に向って起つ - 夜の道 - 喪われた街 - 小さき斗い - 有馬稲子アワー 喪われた街 - てっぺん野郎 - 青春とはなんだ - おゝい雲! - 人魚と野郎 - おおい雲 - 恐怖の人喰い鱶 鱶女 - 太陽の季節 - 狂った果実2002 - 弟

政治
活動・事件
政治組織
家族

石原裕次郎(弟) - 石原まき子(義妹) - 石原典子(妻) - 石原伸晃(長男) - 石原良純(次男) - 石原宏高(三男) - 石原延啓(四男)

カテゴリ

石原慎太郎 - 作品 - 芥川賞受賞者 - 芥川龍之介賞