オースチン・ローバー・グループ

曖昧さ回避 この項目では、1982年から1989年まで存在していた自動車会社について説明しています。イギリスの自動車「ローバー」の概要については「ローバー (自動車)」を、その他のローバーについては「ローバー」をご覧ください。

オースチン・ローバー・グループAustin Rover Group)は、かつて存在したイギリスの自動車会社である。

前身であるBLカーズ 社は1981年、傘下の事業部を再編、大衆車部門を担当する会社として組織されたのがオースチン・ローバー・グループであった。1986年、親会社BLカーズ社はローバー・グループへと社名変更したが、傘下事業会社としてのオースチン・ローバー・グループも、1988年まで存続した。

歴史

ローバーの歴史全般については、ローバー (自動車)を参照
Rover 213SE
1986 Rover 820Si

1975年、事実上経営破綻していた自動車会社・ブリティッシュ・レイランド社は、英国政府による公的報告であるライダー・レポート (Ryder Report) に則って、半国有化され、名称も「British Leyland Mortor Corporation Ltd. (BLMC)」(1978年、「BL Ltd.」に改称)社に改称された。

しかし、複雑に入り組んだ産業界の構造問題は混迷を極め1970年代後半まで拡大していく。旧オースチン社時代からの主力工場・ロングブリッジ工場労働組合の代表であったデレク・ロビンソン(Derek Robinson 1932-2014、英国メディアは「レッド・ロッボ」とあだ名をつけていた)は、役員以上にBLの支配権を握っていた。BLに集合した各工場毎にあった労働組合の代表者はデレク・ロビンソンに従っていたからである。しびれを切らした当時の英国労働党首脳部は企業問題収拾で名を馳せていた南アフリカ生まれのマイケル・エドワーズ (Michael Edwardes) に経営を一任した。

エドワードの最初の仕事は過大な労働組合の力をそぎ落とすことだった。ロビンソンが共産党員グループとコネクションがあることを探り出し、充分な裏づけをとったのち、彼の行動はBLと英国経済に多大な損害をもたらすことになると告発。1979年にロビンソンは解雇となる。次にエドワードがおこなったのは、工場の閉鎖・売却だった。これによる最大の犠牲者はアビンドン (Abingdon) にあったMGの組立工場、およびスピーク (Speke) とカンリー (Canley) にあったトライアンフの工場である。そして三番目に日本のホンダとの合弁事業を開始。そして最後にBLのディーラー数を劇的に削減したのだった。

1986年、親会社のBLが社名をローバー・グループ (Rover Group) に変え、続いてトラック・バス事業を売却。残ったローバー・グループはすべて1988年にブリティッシュ・エアロスペース (BAe) に売却され、社名は「ROVER Cars」に変更、「オースチン・ローバー・グループ」は名実ともに消滅した。

オースチン・ローバー・グループ年表

  • 1981 BL傘下企業「BLカーズ・リミテッド (BL Cars Ltd)」を「オースチン・ローバー・グループ (Austin Rover Group Ltd)」と社名変更。
  • 1982 オースチン・プリンセスを終了しそのマイナーチェンジ・モデルをオースチン・アンバサダーとして発表。
  • 1982 マイケル・エドワーズが会長職を辞しハロルド・マスグローブ (Harold Musgrove|) が就く。
  • 1983 オースチン・アレグロの後継としてオースチン・マエストロ発売。
  • 1984 ホンダ-ARG合弁開発車ローバー・200(初代)発売。トライアンフ・アクレイム 、モーリス・イタル生産終了。
  • 1984 オースチン・モンテゴ発売。
  • 1986 ホンダ-ARG合弁開発車ローバー・800発売。ローバー・SD1生産終了。
  • 1986 BLが社名をRover Group PLCに変更。
  • 1987 ARGのスペア・パーツ・ブランドUnipartがマネジメント・バイアウト (MBO) で売却される。
  • 1987 メトロ、マエストロ、モンテゴで1988年モデルからオースチン・バッジがなくなる。
  • 1988 Rover Group PLC が英国政府からブリティッシュ・エアロスペースに売却される。
  • 1989 オースチン・ローバー・グループは名称変更されローバー・グループとなる。

関連項目

(← 1980年代以前) 英国ブランド車種年表 日本市場 1990年以降
種類 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2
シティ・カー ミニ
スーパーミニ 100 ミニ ミニ
スモール・ファミリー・カー 200/400 200/400
ミッドサイズ・カー 600 Xタイプ
75 75/ZT
エグゼクティヴ・カー 800 800
Sタイプ XF
ラグジュアリー・カー XJ XJ XJ XJ
ミュルザンヌ/コンチネンタル/エイト シルバースピリット/シルバースパー/シルバードーン コンチネンタル・フライング・スパー
シルバーセラフ ゴースト
ターボ アルナージ ミュルザンヌ
パークウォード ファントム
ステーションワゴン 400ツアラー Xタイプエステート
800エステート 75ツアラー/ZT-T
クーペ/オープン 200クーペ/カブリオレ ミニコンバーチブル ミニコンバーチブル
F TF
エラン エリーゼ
800クーペ エキシージ
エスプリ ヨーロッパ
RV8 エヴォーラ
XJ-Sクーペ/XJコンバーチブル XKクーペ/XKコンバーチブル XKクーペ/XKコンバーチブル
DB7/DB7ヴォランテ V8/V8ヴァンテージロードスター
V8 DB9/DB9ヴォランテ
ヴァンテージ V12ヴァンキッシュ DBS
コンチネンタルクーペ/シルバースパー/コーニッシュ コンチネンタルクーペ/コンチネンタルコンバーチブル/ブルックランズ コンチネンタルクーペ コンチネンタルGT/コンチネンタルGTC
コーニッシュ アズール アズール/コーニッシュ ファントムドロップヘッドクーペ
クロスオーバー イヴォーク
フリーランダー フリーランダー 2
SUV ディフェンダー ディフェンダー
ディスカバリー ディスカバリーII ディスカバリー 3 ディスカバリー 4
レンジローバースポーツ
レンジローバー レンジローバー レンジローバー/ヴォーグ
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2
典拠管理データベース ウィキデータを編集
全般
  • VIAF
国立図書館
  • アメリカ
ブリティッシュ・レイランド の盛衰 - 自動車会社とブランド
ブランド 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2008~
ジャガー SSカーズ ジャガー ジャガー BMH ブリティッシュ・レイランド ジャガー フォード タタ
デイムラー デイムラー BSA BSA
ランチェスター ランチェスター
ミニ BMC[1] オースチン・ローバー BAe BMW ミニ/BMW
ライレー ライレー ナッフィールド・オーガニゼーション BMW
MG モーリス・ガレージ (MG) BMW MGR/PVH 南京汽車
モーリス モーリス モーリス
ウーズレー ウーズレー[2]
オースチン オースチン オースチン
バンデン・プラ バンデン・プラ MGR/PVH、フォード [3] 南京汽車フォード
ローバー ローバー ローバー ローバー MGR /PVH、BMW[4] フォード タタ
ランドローバー フォード
アルヴィス アルヴィス[5] BAEシステムズ
スタンダード スタンダード スタンダード・トライアンフ レイランド BMH
トライアンフ ドーソン トライアンフ トライアンフBMW[6]
                                                                                                                                                                    

[1] The BMCの英国での商標権はその後MGローバーグループが所有していた(1564704, E1118348)。BMCの子会社がトルコにあったことからトルコの商用車メーカー名にもなっている。

[2] ウーズレーの商標権は自動車に関してのみ南京汽車が所有している。英国の建築資材メーカーであるウーズレー社(Wolseley plc)がウーズレーのその他すべての商標権を保持している。Wolseley plcはウーズレー自動車の生みの親である。

[3] バンデン・プラの商標権はフォードが米国とカナダでの使用権を所有し、その他の地域ではデイムラーのブランドで「ジャガー XJ バンデン・プラ」というモデルがあるため、MGローバーグループがその使用権を所有していた(UK 1133528, E2654481)。その後、MGローバーグループはバンデン・プラ・ブランドを南京汽車に売却した。ローバーが最後にバンデン・プラを使用したのはローバー75・バンデン・プラで、これはリムジンモデルだった。

[4] この時期、ローバーの商標権はBMWが保持しており、MGローバー・グループにライセンス供与されていたのみ。BMWは2006年9月にローバー・ブランドをフォードに売却した。

[5] アルヴィスはブリティッシュ・レイランドからUnited Scientific Holdings plcが1981年に購入している。2002年にはビッカーズ(Vickers Defence Systems)と合併し、アルヴィス・ビッカーズとなった。2004年、アルヴィス・ヴィッカーズはBAEシステムズに買収されている。BAEシステムズは1990年代初頭のオースチン・ローバー・グループ/ローバー・グループを所有した際にはアルヴィスははずされていた。アルヴィス・ブランドの車は1967年から生産されていないが、そのブランド商標権は、BAEに買収されるまでアルヴィス plc傘下のアルヴィス・ヴィークル社(Alvis Vehicles Ltd)が所有していた。

[6] 車両に関する商標としてのトライアンフの使用はBMWとトライアンフ・モーターサイクル社が共有している。BMWが自動車、トライアンフ社がモーターサイクルに対してのもの。トライアンフでの事業は1930年代からすでに分離されていた。

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