雨音はショパンの調べ

雨音はショパンの調べ」(あまおとはショパンのしらべ)は、イタリアの男性歌手ガゼボの歌唱による1983年の楽曲「アイ・ライク・ショパン / I Like Chopin[1][2]」日本語カバー曲のタイトル。原曲は世界的なヒットをみた楽曲であり、1980年代イタロディスコの中でも最もよく知られた楽曲の一つである。日本では、小林麻美 with C-POINTのシングル(日本語カバー)がヒットした。

原曲

作詞はパウル・マッツォリーニ(ガゼボ本人)、作曲はピェールルイジ・ジョンビーニ (it)による。歌唱はガゼボ。発売元はベイビー・レコーズ (it:Baby Records)。歌詞は英語詞であり、タイトルにもあるようにフレデリック・ショパンをあしらった内容のラブソングである。

ガゼボのデビューアルバム『Gazebo (邦題: 幻想のガゼボ)』の収録曲のひとつである。7インチシングル盤、12インチマキシシングル盤がリリースされているが、いずれもB面は『I Like Chopin』のインストゥルメンタル版が収録されている。

この楽曲は発売後たちまち、イタリアを含むヨーロッパのいくつかの国でチャートの最上位に輝いた。またイタリアでは1983年の年間チャートで2位になっている[3]。日本ではオリコン洋楽シングルチャートで1984年6月18日付から13週連続1位を獲得し、1984年の年間チャートで1位となった[4]

全世界での売上は800万枚以上に達した[5]

各国での最高チャート順位

  • イタリア:1位
  • ドイツ:1位[6]
  • スイス:1位[6]
  • オーストリア:1位[6]
  • ベルギー:3位[6]
  • オランダ:7位[6]
  • 日本:9位
  • 日本(オリコン洋楽チャート):1位

収録曲

イタリア語版

7" Single (Baby 006-65 151) 7" Single (Baby / Carrere 13208 [it])

  1. I Like Chopin - 4:09
  2. I Like Chopin (Instrumental) - 4:20

12" Maxi (Baby 1250289) 12" Maxi (Baby 052-65 151 [de])

  1. I Like Chopin - 7:40
  2. I Like Chopin (Instrumental) - 7:55

小林麻美によるカバー

雨音はショパンの調べ
小林麻美 with C-POINTシングル
初出アルバム『CRYPTOGRAPH〜愛の暗号』
A面
  • 雨音はショパンの調べ(7インチレコード)
  • 雨音はショパンの調べ (LONG VERSION)(12インチシングル)
B面
  • LOLITA GO HOME(7インチレコード)
  • 悲しみのスパイ (LONG VERSION & NEW RECORDING)(12インチシングル)
リリース
規格
ジャンル シティ・ポップ
レーベル CBS・ソニー
作詞・作曲
チャート最高順位
  • 週間1位(オリコン/7インチレコード)
  • 週間78位(オリコン/12インチシングル)
  • 1984年度年間12位(オリコン/7インチレコード)
  • 3位(ザ・ベストテン
  • 1984年度年間15位(ザ・ベストテン)
小林麻美 with C-POINT シングル 年表
夢のあとさき
1976年
雨音はショパンの調べ
(1984年)
哀しみのスパイ
1984年
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背景

「夢のあとさき」以来8年ぶりとなるシングルで、日本語歌詞は小林とは旧友でもあった松任谷由実による。

当時の小林は、女性ファッション誌を中心としたモデル業やライフスタイル啓蒙的活動が多かった。CM、モデル業はデビュー当初から注目されていたが、歌手としては『夜のヒットスタジオ』にも出演した「初恋のメロディー」がヒットして以来、米国からの帰国後に筒美京平に与えられた名曲もことごとく売上では伸び悩み、テレビ番組でも披露していたが暗さを帯びた雰囲気はお茶の間には浸透しなかった。それからモデル業に力を注いで行くのだが、資生堂のCMに起用された折には、「マイ・ピュア・レディ」、「夢一夜」のヒットの起因となった。

音楽性

表題曲「雨音はショパンの調べ」は、ユーミンのアルバム『Yuming Compositions: FACES』(2003年12月17日)でセルフカバーをしている。

B面の「LOLITA GO HOME」は、ジェーン・バーキンが1975年のアルバム『ロリータ・ゴー・ホーム』で発表した楽曲(当時の夫セルジュ・ゲンスブールが作曲)に、小林自身が日本語詞をつけたもの。

テレビ番組での披露

TBSザ・ベストテン』では8週間ランクインしたものの、テレビ番組で同曲を歌うことは一度も無かった。背景として「気休めは麻薬」という歌詞が、NHKの放送上問題があった可能性が指摘されている[7]

ミュージック・ビデオ

映像集『CRYPTOGRAPH〜愛の暗号』(1984年10月21日)に本楽曲のミュージック・ビデオ(なお、この舞台設定はアンドレイ・タルコフスキー監督の『ノスタルジア』をほとんどそのまま引き写したもの)が収録されている。

リリース

1984年4月21日にCBS・ソニーから発売された。

ロング・バージョンを収録している12インチシングルも、同年11月21日に5万枚限定でリリースされた。

記録

発売後に有線放送で注目されると徐々にチャートを上昇してオリコン週間ヒットチャートでは3週連続第1位を獲得、1984年のオリコン年間ヒットチャートでは第12位にランクインした。小林自身にとっては初の1位獲得であり、松任谷にとっても「松任谷由実」名義で他人に提供した作品で初の1位獲得となった[注 1]。売上枚数は52.0万枚[8]

収録曲

7インチレコード
#タイトル作詞作曲編曲
1.雨音はショパンの調べGazebo, P. L. Giombini
日本語詞: 松任谷由実
Gazebo, P. L. Giombini新川博
2.LOLITA GO HOMES. Gainsbourg, Ph. Labro
日本語詞: 小林麻美
S. Gainsbourg, Ph. Labroつのごうじ
12インチシングル盤
#タイトル作詞作曲編曲
1.雨音はショパンの調べ(LONG VERSION)Gazebo, P. L. Giombini
日本語詞: 松任谷由実
Gazebo, P. L. Giombini新川博, 武部聡志
2.悲しみのスパイ(LONG VERSION & NEW RECORDING)松任谷由実玉置浩二武部聡志

関連作品

笠原弘子によるカバー

雨音はショパンの調べ '90
笠原弘子シングル
初出アルバム『Semi-Precious Stone』
B面 CHRISTMAS SONG TO YOU
リリース
規格
ジャンル J-POP
レーベル ワーナー・パイオニア / WARNER RECORDS
作詞・作曲
笠原弘子 シングル 年表
コンディション・グリーン〜緊急発進〜
(1990年)
雨音はショパンの調べ '90
(1990年)
Distance
1991年
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収録曲

8cmCD
CT
#タイトル作詞作曲編曲
1.雨音はショパンの調べ '90Gazebo, P. L. Giombini
日本語詞: 松任谷由実
Gazebo, P. L. Giombini内藤慎也
2.CHRISTMAS SONG TO YOU須藤まゆみ割田康彦恩田直幸

愛里によるカバー

雨音はショパンの調べ
愛里シングル
B面 Twinkle little love song
リリース
規格 マキシシングル
ジャンル J-POP
レーベル テイチクエンタテインメント / コンチネンタル
作詞・作曲
チャート最高順位
愛里 シングル 年表
雨音はショパンの調べ
(2000年)
-
テンプレートを表示
CD
#タイトル作詞作曲編曲
1.雨音はショパンの調べGazebo, P. L. Giombini
日本語詞: 松任谷由実
Gazebo, P. L. Giombini渡辺善太郎
2.CHRISTMAS SONG TO YOU田辺智沙MRie羽毛田丈史
3.「雨音はショパンの調べ」(Instrumental)   

Kraによるカバー

雨音はショパンの調べ
Kraシングル
B面 君の声
リリース
規格 マキシシングル
ジャンル オルタナティヴ・ロック
レーベル キングレコード
作詞・作曲
チャート最高順位
Kra シングル 年表
絆 -キズナ-
(2008年)
雨音はショパンの調べ
(2008年)
ラブラボ
(2009年)
テンプレートを表示
CD[10]
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.雨音はショパンの調べGazebo, P. L. Giombini
日本語詞: 松任谷由実
Gazebo, P. L. Giombini 
2.君の声景夕Kra, 増渕東
合計時間:

レディオサイエンスによるカバー

雨音はショパンの調べ
レディオサイエンスシングル
初出アルバム『レディオサイエンスVol.1』
B面
リリース
規格 マキシシングル
ジャンル J-POP
レーベル ビクターエンタテインメント
作詞・作曲
レディオサイエンス シングル 年表
雨音はショパンの調べ
(2008年)
Waiting for Silence
(2010年)
テンプレートを表示
CD
#タイトル作詞作曲時間
1.雨音はショパンの調べGazebo, P. L. Giombini
日本語詞: 松任谷由実
Gazebo, P.L.Giombini
2.HAPPY EVER AFTERJulia Fordham
日本語詞: 沢ちひろ
Julia Fordham
3.愛が止まらない 〜Turn it into love〜Mike Stock, Matt Aitken, Pete Waterman
日本語詞: 及川眠子
Mike Stock, Matt Aitken, Pete Waterman
合計時間:

カバーした主な歌手

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 荒井由実」名義の提供曲ではバンバンの「『いちご白書』をもう一度」(1975年8月1日)が、ペンネームの「呉田軽穂」名義では松田聖子の「赤いスイートピー」(1982年1月21日)、薬師丸ひろ子の「Woman "Wの悲劇"より」(1984年10月24日)などがオリコンヒットチャートで第1位を獲得している。

出典

  1. ^ “Gazebo - I Like Chopin (Vinyl) at Discogs” (英語). Discogs. 2014年10月31日閲覧。
  2. ^ “Images for Gazebo - I Like Chopin” (英語). Discogs. 2014年10月31日閲覧。
  3. ^ http://www.hitparadeitalia.it/hp_yends/hpe1983.htm
  4. ^ コンピレーション・アルバム『ナンバーワン80s ORICON ヒッツ』の裏ジャケット。ナンバーワン 70s 80s 90s オリコン・ヒッツも参照。
  5. ^ 金之玉手箱 「佐伯進の音楽倉庫」カヴァー曲特集、朝日放送、1998年2月13日。(インターネットアーカイブ
  6. ^ a b c d e http://italiancharts.com/showitem.asp?interpret=Gazebo&titel=I+Like+Chopin&cat=s
  7. ^ “【1984年7月】雨音はショパンの調べ/ユーミンに勧められた小林麻美 TVでは1回も…”. スポニチ Sponichi Annex 芸能. スポーツニッポン (2011年7月30日). 2021年12月24日閲覧。
  8. ^ スージー鈴木『1984年の歌謡曲』イースト・プレス〈イースト新書〉、2017年2月、73頁。ISBN 978-4-7816-5080-7。 
  9. ^ “雨音はショパンの調べ|Kra”. ORICON STYLE. 株式会社oricon ME. 2021年12月24日閲覧。
  10. ^ “雨音はショパンの調べ”. タワーレコード. 2021年12月24日閲覧。
  11. ^ “柴咲コウ「続こううたう」で星野源、GAO、マイラバ、陽水ら名曲カバー”. 音楽ナタリー. (2016年6月10日). https://natalie.mu/music/news/190333 2016年6月10日閲覧。 

関連項目

外部リンク

松任谷由実(荒井由実・呉田軽穂)
シングル
松任谷由実のシングル
オリジナル
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
配信
コラボレート
アルバム
松任谷由実のアルバム
オリジナル
ベスト
コラボベスト
セルフカバー
  • Yuming Compositions: FACES
ライブ
ボックス
特別企画盤
カテゴリ カテゴリ
映像作品
楽曲

瞳を閉じて - 卒業写真 - 『いちご白書』をもう一度 - 晩夏(ひとりの季節) - 甘い予感 - 恋人がサンタクロース - 時をかける少女 - 瞳はダイアモンド - 雨音はショパンの調べ - オーシャン・ブルー - Woman "Wの悲劇"より - ノーサイド - リフレインが叫んでる - 時はかげろう - 命の花 - 雨に願いを - 雪の道しるべ

番組
ラジオ
現在
過去
テレビ
関連項目
カテゴリ カテゴリ
オリコン週間シングルチャート第1位(1984年7月16日-7月30日付)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
  • シングル:1967
  • 1968
  • 1969
  • 1970
  • 1971
  • 1972
  • 1973
  • 1974
  • 1975
  • 1976
  • 1977
  • 1978
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  • 2024

  • デジタルシングル:2017・2018
  • 2019
  • 2020
  • 2021
  • 2022
  • 2023
  • 2024

  • 合算シングル:2018・2019
  • 2020
  • 2021
  • 2022
  • 2023
  • 2024

  • ストリーミング:2018・2019
  • 2020
  • 2021
  • 2022
  • 2023
  • 2024
オリコン年間洋楽シングルチャート第1位(1984年)
1960年代
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邦楽
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1980年代
邦楽
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邦楽
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2000年代
邦楽
洋楽
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CDシングル
DLシングル
ストリーミング
合算シングル
洋楽シングル
2020年代
CDシングル
DLシングル
ストリーミング
合算シングル
年の表示は年度の意。2005年までは前年の12月第1週から11月最終週、現在は前年の12月第4週から12月第3週までの集計。
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